
先日、小学5年生の息子が帰宅後、こんなことを言い出しました。
「クラスのみんな、外国語の授業は意味ない、無駄だと言っている。あんなもんやめろよとみんな言っている」さらに「言っていない奴も嫌だと思っていると思うよ」「嫌だ嫌だ嫌だとつぶやいている奴もいたし」とのこと。
ここまで嫌悪感をあらわにしているのは、なかなかすごいですよね。
そして、息子はこうも言います。「こんな授業をするなら、音楽でずっと歌っている方がましじゃね? ためになるってクラスで言っている」ちなみに、音楽の何がためになるのか聞いてみると、「わかんない。音楽の方が何となくためになる気がする」とのことでした。
息子の話によると、図工・体育・家庭科など、ほかの実技系科目について「無駄」「いらない」「嫌い」といった言葉を聞くことはないそうです。もちろん、これは息子から聞いた話なので、クラス全員が同じように思っているのかはわかりません。
それでも、なぜ外国語の授業に対して、ここまで厳しい意見が出てくるのでしょうか。気になったので、息子に詳しく話を聞いてみることにしました。
そもそも小学校の外国語の授業はどんな感じ?

そもそも、小学校の外国語の授業はどのように行われているのでしょうか。
学校によって体制は異なり、担任の先生が指導する場合もあれば、英語専任の先生や外国語指導助手(ALT)などが授業に加わる場合もあります。
※文部科学省も、小学校の外国語教育に関する方針や教員配置などについて資料を公開しています。
https://www.mext.go.jp/content/20230106-mxt_soseisk02-000026908_3.pdf
資料によると「小学校の外国語教育においては、学級担任による指導と、一定の英語力を有した教員による専科指導を両輪として活かす体制を推進しています。」「ネイティブ・スピーカーが授業におけるモデル提示ややり取りの相手、パフォーマンステストの補助、発音指導などを行う体制」を整えることを推進しています。
では、子供たちが通っている小学校はどうなのでしょうか。日本人の英語専任講師と外国人の先生が一緒に授業を行う体制で、授業では外国語教室に移動することもあります。授業の様子を聞く限り、先生の配置や教室の面では、外国語教育のための環境が整えられているように感じます。つまり、文部科学省が推進している体制に近いといえそうです。
授業内容は、私たちが中学生だったころに経験した、ネイティブの先生との英語の授業に近い印象です。詳しくは別記事にまとめているので、よろしければこちらもご覧ください。
小学3年生から外国語の授業が始まりますが、小学5年生になってから授業内容に変化があったのか、息子に聞いてみました。
すると「テストをやるようになった。あと、少し会話が増えた気がする」とのこと。息子の話では、テストが始まったことや会話が少し増えたことを除けば、小学3年生のころから授業の印象はあまり変わっていないようです。

どうして外国語の授業は意味がないと思うの?
息子に「外国語の授業はどうしてみんな嫌がっているの?」と聞いてみました。まず返ってきたのは、一言。
「楽しくない」さらに、「あんなのじゃ覚えられない。やっていることが中途半端」とのことです。英語のゲームや歌は面白くないのか聞いてみても、「全く面白くない。時間の無駄とみんな言っている」と言います。
その後も「英語の授業かえろぉ~、むだむだむだ。文部科学省さっさとかえろ~」と、謎の歌を歌っていました。そこまで不満があるのか……。ただ、私は少し気になりました。小学校の外国語の授業は、英語が得意な子だけを対象にしているわけではありません。英語が苦手な子もいるでしょうし、そうした子にも配慮した授業になっているのではないかと思ったのです。
ちなみに、息子によると、通っている小学校では英語塾などに通っている子が多いそうです。以前も、クラスでは英語の習い事をしている子がほとんどだと話していました。
もともと英語を学んでいる子が多いからこそ、今の授業では物足りないと感じるのかもしれません。
そこで、息子に聞いてみました。「でも、英語ができない子に合わせているんじゃないの? そういう子にとっては、今の授業が必要なのかもしれないよ?」すると、息子はこう返してきました。
「だったら中学のレベル下げろよ。高校から仮定法とか下すなよ。くそじゃん」
…なかなか辛辣です。
息子としては、小学校では歌やゲームを中心にした授業をしているのに、その後は文法や単語などを本格的に勉強することになるのが納得できないようです。では、どんな授業ならいいのか。そう聞いてみると「普通に文法と単語と熟語を勉強する内容」とのことでした。
確かに、息子の言いたいこともわからなくはありません。
ちなみに、息子のクラスでは、塾に通っている子が多いそうです。英語だけでなく、算数なども先取り学習をしたり、学校の授業の予習・復習をしたりしている子が多いのかもしれません。クラスの平均点も、息子の話を聞く限りではかなり高いようです。
それでも、算数などのほかの教科について「もう塾でやったから無駄」「こんな授業はいらない」といった声は聞いたことがないそうです。もし、授業の進度が遅いことや、すでに学習した内容を扱うことだけが不満の原因なら、算数などでも同じような不満が出てきてもよさそうです。

小3の娘にも聞いてみた
ついでに、小学3年生の娘にも、外国語の授業についてどう思っているのか聞いてみました。すると、返ってきた答えは「普通」。
それだけではよくわからないので、外国語の授業に意味があると思うか、英語を覚えられそうかと聞いてみると「ない。ただ歌っているだけじゃん」とのことでした。ちなみに、息子も比較していた音楽の授業についても聞いてみました。すると、娘も「音楽の方が楽しい」と答えます。同じように歌を歌うこともあるので、大人からすると、それほど違いがないようにも思えます。ところが、娘に言わせると「歌っているだけじゃないし。リコーダーとかあるし」とのこと。なるほど。娘にとっては、音楽には歌以外にもリコーダーなどの活動がある一方、外国語の授業は歌を歌っているだけ、という印象なのかもしれません。
小学3年生の娘からも、外国語の授業について厳しい意見が出てきました。息子ほど強い不満を持っているわけではなさそうですが、少なくとも、授業で英語を学べているという実感はあまりないようです。

オンライン英会話は学校の授業と違うらしい
息子は小学5年生になってから、自宅でオンライン英会話も始めました。学校の外国語の授業だけでなく、英語を使って会話をする学習も経験しています。
小学校の外国語教育も、「聞くこと」「話すこと」を重視しています。その点では、オンライン英会話と共通する部分もあります。
そこで気になったのが、息子にとって学校の外国語の授業とオンライン英会話は何が違うのか、ということです。実際に聞いてみました。すると「全然違うよ。オンライン英会話はためになる」とのこと。具体的に何が違うのか聞いてみると「遊びではない。ちゃんと英語を使った話をしている」と説明してくれました。
オンライン英会話では、先生から英語で質問され、それに対して自分で英文を組み立てて答える場面があります。息子は、知っている単語や文法を使いながら、自分で英文を考えて話すことを繰り返しています。息子にとっては、こうしたやり取りが「英語を使っている」「英語を学んでいる」という実感につながっているようです。
もちろん、学校の外国語の授業とオンライン英会話では、目的や学習内容が異なります。そのため、単純にどちらが優れているとはいえません。ただ、息子の反応を見る限り、学校の授業では英語を学んでいる実感が乏しい一方、オンライン英会話では自分の知識を使って会話することに意味を感じているようです。
もしかすると、息子は英語に親しむための活動よりも、単語や文法を覚え、それを実際の会話で使えるようになることを求めているのかもしれません。まずは英単語や熟語を覚え、簡単な英文法を学び、自分で英文を書けるようになってから会話に取り組む。息子にとっては、そうした順序で学ぶ方が納得できるのかもしれません。

小学生は学校の授業を意外とシビアに見ている
今回は、息子の「外国語の授業は音楽よりも意味がない」という発言に衝撃を受けて記事にしました。こんなことを言ってはなんですが、私自身、学校の授業の中で一番意味がないのではと思っていたのが音楽でした。それなのに、息子は音楽よりも外国語の授業の方が意味がないと感じているようです。これは意外でした。
息子の話を聞く限りでは、少なくともクラスでは、授業がためになると感じられるかどうかが重要なようです。英語に親しむためのゲームや歌も、子供たちにとっては楽しい時間になっていないのかもしれません。文部科学省は、子供たちに英語を身につけてほしいのでしょうか。それとも、まずは英語を好きになってほしいのでしょうか。
もちろん、英語に親しむことも大切です。ただ、少なくとも息子のクラスでは、英語を学ぶことにも、英語を好きになることにも、十分につながっているとは言いにくい状況のようです。とはいえ、すぐに小学校の英語教育が変わるとは思えません。息子の言葉ではありませんが、中学校に入れば英語の学習内容も本格的になっていきます。
中学校に入ってから困らないように、学校の授業だけに頼るのではなく、自分たちでも対策しておく必要はありそうですね。

