
最近はAIの登場とともに、ブルーカラーの仕事に注目が集まることも増えてきました。それでも、ホワイトカラーにあこがれる人は多く、ブルーカラーを小さいころから目指す子どもは、そう多くないのではないでしょうか。
我が家の娘は少し変わっていて、家の掃除が大好き。そのため、幼稚園に入園する前から「お掃除に関する学校に行きたい」と言っていました。
そして、小学3年生になった今でも、その考えの方向性は変わっていません。
小学生のうちからブルーカラーを目指す子ども。ブルーカラーを目指すなら、勉強はしなくてもいいのでしょうか。我が家の考えと実例を紹介します。
娘は「勉強ができないから」調理師を目指しているわけではない
よく、勉強が苦手だったり、勉強をやりたくなかったりするからブルーカラーを目指す子供がいます。私が子供のころにも「俺は勉強したくないから料理人がいい」と、料理を一切やったことがないのに言っている同級生がいました。ちなみに、その同級生は現在、料理人ではなく、水道工事の会社で現場仕事をしています。
では、我が家の娘も同じタイプなのでしょうか?
勉強は好きではない。でも学校では優等生

娘は小学3年生ですが、1年生のころから勉強が好きではありませんでした。というより、机に向かって文字を書いたりすること自体が好きではないようです。最近では本をよく読むようになりましたが、小学2年生までは音読すら一切してくれませんでした。
ただし、勉強自体が苦手かというと、それは異なります。学校のテストは基本的に100点が多く、プリントを見てもほとんど間違っていません。家での勉強はやる気がなく、いい加減なところもありますが、悪い成績は取りたくないためか、学校の成績だけはすこぶるいいです。苦手なものもほとんどなく、先生からも「何一つ言うことがないほどの優等生」とお墨付きをもらっています。
勉強にやる気はありませんが、決められたルールは守るため、スケジュールはきちんとこなします。ただし、「難しい問題や、わからないものはやりたくない」と本人が豪語するほど、向上心はありません。
兄妹によって全然違う

小学5年生の息子が目指しているのは、社会や英語の先生です。ものすごく高い学力が必要かと問われると微妙なところもありますが、ある程度の学力と学歴があったほうがいい仕事です。特に英語は、資格も取っておきたいところ。そのため、息子は子供本人とも相談してオンライン英会話を始めました。また、社会については学校ではまだ習っていない範囲も自分で調べ、深く覚えたりしています。
そこで兄妹あるあるなのが、「お兄ちゃんばかりやってずるい」という発言です。特にオンライン英会話は、部屋に閉じこもってレッスンを受けるため、声だけが外から聞こえてきます。
それに対して、娘は一切興味がない印象です。やってみたいか、興味はあるかと聞いてみたところ、「興味は一切ないし、絶対にやりたくない」と返答。うらやましくない?と聞いても、「はずいし、そこまで頑張りたくない」と言われてしまいました。
息子が少し難易度の高い問題に取り組み、親がつきっきりで見ているときも、娘は一切興味を示しません。自分の勉強をササッと終わらせたら、さっさと漫画を読み始めます。とはいえ、娘の勉強を放置しているわけではありません。兄よりも難易度の低い問題に取り組んでいるため、どうしても早く終わってしまうのです。
娘が好きなのは「机に向かうこと」より「手や体を動かすこと」

娘は落ち着きがなかったわけではありません。ただ、机に向かって本をずっと読んでいたりするのが好みではありませんでした。それは小学3年生になっても変わらず、ゲームすらすぐに飽きてしまい、長時間座って何かをすることもありません。暴れまわったりはしてませんが、誰かのそばにいたりうろうろしているのが多いタイプです。
幼稚園のころから家事が好きだった

親のあとをついて行くのが好きな娘。息子がやっているワークや教材は興味を示しませんでしたが、家事については関心がありました。特に幼いころから掃除が好きで自分でやりたがることが多かったです。掃除機だけでなく、床の雑巾がけ、洗面台掃除、トイレ掃除、お風呂掃除ほとんどすべて好きでした。特にトイレ掃除は「楽だしすぐキレイになるからいい」とのことです。掃除が好きなため、掃除を勉強する学校はないか?そういう学校に入学したいと言葉を話せるようになるころには言っていました。
最近は調理や裁縫にも興味が広がった
残念ながら掃除にまつわる学校は探しましたが見つかりませんでした。エアコン掃除に関する学校はありましたが、あれは大人向けで娘が求めている系統とは異なります。
そこで進めたのが料理系への道。娘は掃除にまつわる内容の仕事をしたいから家事代行を目指していました。家事代行は掃除以外にも料理ができた方が幅が広がりおすすめです。
その話をしたところ娘は興味を持ち、少しお手伝いをさせました。すると調理にもはまり、いまでは家の味噌汁や野菜炒めなどに使う野菜をカットするのをまかせるほどの腕前に。
揚げ物は危ないのでまだやらせていませんが、炒め物や圧力鍋の扱いなどを教えたりして、時々野菜炒めをまかせたりしています。
最近だと息子が学校の宿題である裁縫を見ていて「私もやってみたい」という発言が。手縫いをしていて裁縫面白いと言っていましたね。
小学生からブルーカラーを目指すのは「あり」だと思う
AIが浸透するにつれて、大人たちの仕事に対する考え方も変わってきました。私が子供のころといえば、「有名大学に進学して大手企業に入社=勝ち組」というイメージがありました。そこまでいかなくても、1990年代から2000年代初頭にかけては、ホワイトカラーを目指す人が多かったように思います。
私自身も、ブルーカラーになるのは「勉強ができない、頭の悪い人」という印象を持っていたことは否定できません。しかし現在は、AIでは代替しにくい仕事という観点から、ブルーカラーに注目が集まることも増えてきました。実際に、AIの影響を受けやすい職種では、若年層の雇用が減少しているという海外の調査もあります。
「ブルーカラー=勉強が苦手」は違う

私も、これからはブルーカラーの仕事がより注目される時代になると思っています。もちろん、だからといって「ブルーカラーなら勉強はいらない」ということではありません。ブルーカラーの仕事でも、資格や専門的な知識が必要になるものはたくさんあります。
また、勉強そのものが直接仕事に関係しなくても、資格試験などに向けて勉強した経験は、将来何かを学ぶときに生きてくるでしょう。
娘も勉強は好きではありません。しかし、将来、調理師から栄養士を目指したいなど、勉強が必要になる職業に興味を持つ可能性もあります。
また、現在好きな掃除についても、将来的には「ハウスクリーニング技能士」という国家検定があります。受検には実務経験などの条件がありますが、近年の合格率は20~30%台で、決して簡単な試験ではありません。
娘は、机に座って仕事をするよりも、体や手を動かして仕事をするほうが好きです。だからこそ、将来こうした資格を取得して、自分の技術や価値を高めていくという道もありだと思っています。
「ブルーカラーを目指すから勉強しなくていい」のではありません。必要な勉強はきちんとする。そのうえで、本人が得意なことや好きなことを伸ばしていけばいい。
我が家では、そんなふうに考えています。
調理師だけじゃない?親が「家庭科の先生」を勧める理由

では、子供の望み通り調理師や家事代行に一直線に目指してもいいのでは?というと少し違うのと思っています。我が家の考え方を紹介します。
家事・料理・裁縫が好きなら家庭科の先生も向いているかも
子供のうちから将来なりたい職業を見つけるのは、非常にいいことだと思います。しかし、成長とともに考え方が変わることもあります。考えが変わったときに、取り返しがつかなかったり、取り戻すのが大変だったりする経験をさせないことも、親からのアドバイスではないかと思っています。
娘の特徴をまとめると、「裁縫・調理・掃除など家事全般に興味がある」「勉強は苦手ではない」「学校では優等生と言われるほど真面目で几帳面」といったところです。
確かに、調理師などをそのまま目指すのもありです。極端な話、中学校を卒業してから、修業として働く道もあります。
しかし、それを現時点で進路として決めてしまうと、将来の選択肢が狭くなってしまう可能性があります。例えば、中学校卒業後に働き始めたものの、後から考えが変わって進学したくなった場合、高校に入り直したり、高卒認定試験を受けたりするなど、別のルートを考える必要が出てくるかもしれません。
また、娘の特徴を考えると、調理師や家事代行だけでなく、家庭科の先生を目指すのもありではないかと思いました。
調理師を目指して調理師学校に進み、働き始めてから「やっぱり家庭科の先生になりたい」と考えが変わると、そこから教員免許を取得するのは簡単ではありません。一方で、まず家庭科の教員免許を取得できる進路を選んでおけば、その後に考えが変わって調理師や家事代行などを目指すことは、比較的方向転換しやすいのではないかと思っています。
もちろん、まだ小学3年生なので、今から進路を決める必要はありません。
「調理師になりたい」という今の気持ちは大切にしながらも、将来、別のことに興味を持ったときに方向転換できるよう、選択肢はできるだけ残しておきたい。
私はそんなふうに考えています。
その件について、娘にも話をしてみました。
娘も意外と前向きだった

ねぇ、料理や裁縫を生徒に教える家庭科の先生はどう思う?

それって、料理を専門に教えたりもできるの?

学校によると思うけど、非常勤で担当する教科を選んだりすることはできるかもしれないよ

それだったら全然あり。先生も悪くないね

大学に行くのに勉強は必要だけど、そこまで偏差値の高い大学に入らなくてもなれるよ

へぇ、私でもいけるかな?そのくらいだったら
このような会話で、意外とすんなり受け入れられました。まだ小学3年生だから、ともいえなくもありませんけどね。
結局、本人がやりたいのは、料理に関係していることや掃除に関係していること。まだ「絶対にこれになりたい」と、そこまでガチッと定まっているわけではありません。
だからこそ、今の段階で一つの職業に決めつけるのではなく、本人が興味を持っている方向性を大切にしながら、選択肢を広げておく。
それが、親にできることなのではないかと思っています。
ブルーカラー・ホワイトカラーと固執しないで本人の望みに近い選択を

小学3年生の娘は、自分がやりたい仕事については明確で、今のところさほどぶれていません。しかし、まだ経験が乏しいため、職業に関する知識が少ないのは当然です。そこは親がフォローする必要があると思っています。
調理師や家事代行もいいですが、本人が本当にやりたいことは何かと考えると、実はそれ以外の職業である可能性もあります。
そのため、いざ本人がやりたい職業が明確に決まったとき、これまでの選択によって、そこにたどり着くことが難しくならないようにすることも、親の役割なのではないかと思っています。
現時点では、娘の勉強は学校で習うレベルで十分だと考えています。ただ、これから目指す方向性が変われば、さらに勉強が必要になることもあるかもしれません。
そのときは、「どうしてこの勉強が必要なのか」を説明し、本人が納得したうえで取り組めるようにアドバイスしていきたいですね。
ブルーカラーだから、ホワイトカラーだからということに固執するのではなく、本人が望む仕事に近づけるようにする。そのために必要なことを、その時々で一緒に考えていく。
今の我が家にできるのは、それくらいなのかもしれません。

