
英検3級では、近年ライティングの重要性が高まっています。リーディングやリスニングと同じように評価されるためです。しかし、ライティングの学習にはいくつかの課題があります。
まず、自分で書いた英文が正しいのか判断するのが難しいこと。次に、添削してもらう機会が限られていることです。さらに、自分の答案が何点くらいなのかも分かりにくいため、学習の成果を実感しにくいという問題もあります。
そこで我が家では、AIを活用してライティング対策を行いました。今回は、手書きの英検3級ライティングをスキャンし、ChatGPTとGeminiで採点してもらった結果をご紹介します。実際に使ってみて感じた読み取り精度や採点内容についてもお伝えします。
英検3級ライティングとは?

英検3級のライティング問題とはどのようなものなのでしょうか。
40代に差しかかる私たち世代にとっては、少し馴染みのない問題かもしれません。というのも、私たちが受験していた頃の英検にはライティング問題がなかったからです。
英検3級にライティング問題が導入されたのは、2017年度第1回検定からです。それまで出題されていた語句整序問題(大問3)の5問分と入れ替わる形で導入されました。また、これに伴い筆記試験時間も40分から50分へと延長されています。
導入の背景には、日本の学習者が苦手としやすい「話す力」と「書く力」を早い段階から育成する狙いがあったとされています。
最近では英検だけでなく、高校入試でもライティング問題が出題されるケースが増えています。そのため、英検のライティング対策は入試対策にもつながるでしょう。
2024年度からライティングは2問構成
それまで1問だったライティング問題は、2024年度から2問構成になりました。
Eメール問題
日常的なEメールを読み、指示された2つの質問に答える形式です。
例題
What did you do on the weekend?
(週末は何をしましたか?)
目安語数:15〜25語
英作文問題
質問に対して、自分の意見とその理由を2つ書く形式です。
例題
Do you like studying English?
(英語を勉強するのは好きですか?)
目安語数:25〜35語
自分で文章を考えて書く必要があるため、十分な対策をせずに本番へ臨むと苦戦する可能性があります。最近は参考書や動画、AI添削などさまざまな学習方法があるので、自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。
ちなみに、ライティング問題が導入された2017年当時は、受験者や指導者の間でも大きな話題になったそうです。それまでマークシート中心だったため対応に苦労するケースも多かった一方、Eメール問題は比較的パターン化しやすく、早い段階で対策方法が確立されたといわれています。変だったとのこと。逆にEメールは対応がしやすく、すぐにテンプレートができたとのことでした。
英検3級ライティングはどう採点される?
英検3級のライティングは、次の4つの観点で採点されます。各観点4点満点で評価されるため、1問あたり16点満点です。
| 観点 | 内容 |
| Content | 課題への回答 |
| Organization | 文章構成 |
| Vocabulary | 語彙 |
| Grammar | 文法 |
ライティングは2問あるため、合計32点満点となります。その後、英検独自のCSEスコアへ換算され、550点満点で評価されます。
実は英検の採点にもAIが活用されている
実は、英検本番のライティング採点にもAI技術が活用されています。ただし、AIだけで採点しているわけではなく、人による確認を組み合わせた方式です。
そのため、採点の公平性を保ちながら効率化を進めているとされています。
近年はAI技術の精度向上に伴い、採点におけるAIの活用範囲も広がっています。
- 2023年まで:主に人が採点(AIは検証段階)
- 2024年:ライティング採点の一部でAI活用を開始
- 2025年以降:AI活用の拡大が進行中
こうした背景を考えると、過去問学習でAIを活用することには一定の意味があると感じます。現在は旺文社をはじめ、さまざまなサービスでAIによるライティング採点を利用できます。ただし、会員登録が必要だったり、有料プラン限定だったりするケースも少なくありません。
また、旺文社のAI採点は便利ですが、基本的には英文を手入力する方式です。本番では手書きで解答するため、文字の癖による読み取りの影響までは再現できません。そこで今回は、無料で利用できる身近なAIであるChatGPTとGeminiを使い、手書き答案の採点を試してみました。
英検公式発表はこちら
https://www.eiken.or.jp/eiken/info/2023/pdf/20231003_info_eikenAI.pdf
今回の無料AI検証方法

今回はChatGPTとGeminiを使用し、実際の英検3級ライティング答案を採点してもらいました。
使用したもの

- 英検3級過去問
- 手書きライティング答案
- プリンターのスキャン機能
- ChatGPT
- Gemini
なお、今回使用した答案は、以前AIに採点してもらったものを再利用しています。そのため、一部に修正した跡が残っています。修正箇所をAIが誤認識しないよう、消した部分は黒く塗りつぶしてからスキャンしました。
無料AIへの指示(プロンプト)
プロンプトは下記になります。
英検3級のライティングの問題と解答を添付するので採点してください。
Content、Organization、Vocabulary、Grammarの4観点で評価し、改善点も教えてください。
ChatGPTで採点してみた結果

まずChatGPTで採点してもらったところ、最初に少し気になる点がありました。
指摘内容自体は参考になるものでしたが、英検3級ライティングは16点満点であるにもかかわらず、採点結果が8点満点として表示されていたのです。
また、語数についても24語と判定されていましたが、実際に数えてみると27語ありました。どうやら単純なカウントミスだったようです。
そこで「英検3級ライティングは16点満点ではありませんか? また、語数は27語ではないでしょうか?」と指摘したところ、正しい採点結果が返ってきました。
このことから、AIの回答は必ずしも最初から正確とは限らず、利用者側も内容を確認する必要があると感じました。
修正後の採点結果は下記になります。
採点結果
ご指摘ありがとうございます。確認し直してみました。
解答文をそのまま語数カウントすると、
I(1) like(2) better(3) skiing.(4)
First,(5) skiing(6) is(7) very(8) interesting,(9) and(10) it(11) is(12) fun.(13)
Second,(14) I(15) like(16) winter(17) sports(18) because(19) I(20) like(21) cold(22) places(23) and(24) I(25) like(26) snow.(27)
27語ですね。
私の先ほどの「約24語」はカウントミスでした。失礼しました。
また、現在の英検3級ライティングはご指摘の通り、
Content 0~4点
Organization 0~4点
Vocabulary 0~4点
Grammar 0~4点
の合計16点満点です。
その基準で改めて採点すると、
| 観点 | 点数 | 評価 |
|---|---|---|
| Content | 4/4 | 質問に答え、理由を2つ述べている |
| Organization | 4/4 | First、Secondで整理されている |
| Vocabulary | 3/4 | 基本語彙中心だが意味は明確 |
| Grammar | 2/4 | 語順ミスとスペルミスあり |
| 合計 | 13/16 |
Grammarの減点理由
① I like better skiing.
英検では
I like skiing better.
が自然な表現です。
比較表現の語順ミスとして減点対象になる可能性があります。
② iss
skiing iss very interesting
はスペルミス。
ただし意味は完全に伝わるため大きな減点ではありません。
実際の本番なら
この答案は、
- 語数条件クリア(27語)
- 理由2つあり
- 構成良好
- 内容も質問に対応
しているため、
採点者によって多少前後しますが
12~14点程度
が妥当だと思います。
個人的には
13/16点前後
の評価です。
ちなみに、この答案で
I like skiing better.
に直し、
because I like cold places and snow.
と少し自然にするだけで、
14~15点レベルまで上がる可能性があります。
良かった点
- 採点理由が簡潔で分かりやすい
- 改善点がシンプル
- 読み取りミスが少ない
ChatGPTは採点理由が簡潔で分かりやすいのが特徴でした。また、なぜその点数になったのかが明確に説明されているため、改善すべきポイントを把握しやすく、次の学習につなげやすい印象を受けました。
気になった点
- 語数のカウントミスがあった
- 英検の配点を正しく認識していなかった
配点についてはGeminiも同様に間違えていました。しかし、それ以上に気になったのが語数のカウントミスです。ライティングでは語数も重要な評価項目の一つなので、本当に正しく採点できているのか少し不安を感じました。
Geminiで採点してみた結果

Geminiでも同様に8点満点として採点されていました。そこで同じように指摘して、下記の通り採点してもらいました。
採点結果
大変失礼いたしました!ご指摘の通り、現在の英検3級ライティングは各観点4点満点の計16点満点で採点されます。
16点満点の基準(各観点0〜4点)に合わせて、改めて厳密に採点し直しました。
採点結果(16点満点)
合計:10点 / 16点満点
- Content(内容):4点 / 4点
- Organization(構成):2点 / 4点
- Vocabulary(語彙):2点 / 4点
- Grammar(文法):2点 / 4点
16点満点基準での詳細フィードバック
1. Content(内容): 4 / 4 点
- 評価: 満点です!「水泳よりスキーが好き」という結論に対して、「おもしろくて楽しい」「冬のスポーツ(寒い場所や雪)が好き」という2つの理由が矛盾なく明確に書かれているため、内容の減点はありません。
2. Organization(構成): 2 / 4 点
- 評価:
First,とSecond,を使って論理を組み立てようとしている姿勢は素晴らしいですが、英文のつなぎ方にやや不自然さがあります。- 1つ目の理由で
andを使ってinterestingとfunを並べていますが、意味が重複しているため、少し引き延ばした印象を与えてしまいます。 - 2つ目の理由の
..., because...は、1つの文の中にbecauseを入れる場合、コンマ(,)は不要です。
- 1つ目の理由で
3. Vocabulary(語彙): 2 / 4 点
- 評価: 自分の伝えたいことに合わせた語彙(
winter sports,snowなど)を選べているのは高評価です。 - 減点理由: 語数の少ない3級のライティングにおいて、4箇所のスペルミス(
is➡iss、interesting➡enteresting、winter➡wnter、およびskiingの重ね書き)はやや目立つため、2点減点となります。
4. Grammar(文法): 2 / 4 点
- 評価: 構造としてはシンプルな文で構成されていますが、基礎的な文法・語順のエラーがあります。
- 語順のミス: 冒頭の
I like better skiing.は、正しくはI like skiing better.です。比較のbetterは動詞の直後ではなく、目的語の後ろに置きます。 - 記号のミス:
winter sports;と、セミコロン(;)のように見える記号が使われています。ここは通常の文章なので、記号は不要です(またはコンマ)。
- 語順のミス: 冒頭の
💡 合格ライン(12点以上)を超えるためのポイント
英検3級のライティングでは、およそ11〜12点以上を取ると一次試験通過がかなり有利になります。あと2点プラスするために、以下の2点を意識してみてください。
- 得意な「型」を完璧にする「〜の方が好き」と言いたいときは、絶対にミスをしないように
I like A better.の形をノートに書いて体に覚えさせましょう。 - スペルに不安な単語は避けるもし
interestingのスペルに自信が持てないときは、確実に書けるgoodやexcitingなどの簡単な単語に言い換えるのも賢い戦略です。
内容の組み立てはばっちりできていますので、ケアレスミスを減らせば12点以上の高得点が十分に狙えます!
良かった点
- 細かく丁寧に解説してくれる
- 型やテンプレートも提案してくれるため次に生かしやすい
Geminiは採点だけでなく、なぜその評価になったのかを細かく解説してくれました。また、より高得点を狙うための型やテンプレートも提案してくれるため、次回のライティング練習に生かしやすいと感じました。
気になった点
- 一部文字の読み取りミスがあった
- コメントがやや回りくどい
今回使用した答案は、文字があまりきれいではなく、消し跡も残っていたため、読み取りにくい部分があったのは事実です。しかし、それを考慮しても、読み取り精度はChatGPTよりかなり低い印象を受けました。
なお、今回は無料版のAIを利用していますが、これまで試した他の無料AIと比較しても、Geminiは特に文字認識が厳しいように感じます。少しでも判別しにくい文字があると、誤認識につながりやすい傾向がありました。
無料AI採点で分かった最大の課題は「文字認識」

文法やスペルミスなど、英語力そのものを向上させる余地はまだあります。しかし、今回AI採点を試してみて最も大きな課題だと感じたのは、英語力ではなく「文字認識」でした。
実際に採点結果を確認すると、文字の読み取りミスによって本来より低い評価になっているケースが何度か見られました。
字に癖があると誤認識されることも

例えば、nの縦線が長くてhに見えたり、aをuと認識されたりするケースがありました。
また、消しゴムで消した跡が残っている部分は特に誤認識が多く見られました。文字が重なっている状態になると、AIは正しく判別できないことがあるようです。
この傾向は英語だけではありません。分数や計算問題などでも、文字や数字が重なっていると読み取りミスが発生することがあります。
そのため、英文を修正する際は、できるだけ丁寧に消してから書き直すことが大切だと感じました。
英語を書くときは単語をつなげない
もう一つ気になったのが、単語同士の間隔です。
単語の間隔が狭いと、AIが複数の単語を一つの単語として認識してしまうケースがありました。その結果、本来は正しい英文でも誤った単語として判定されることがあります。
そのため、英語を書く際は単語と単語の間に適度なスペースを空けることをおすすめします。
また、筆記体は読み取りミスが増える可能性が高いため、AI採点を利用する場合はブロック体で丁寧に書いた方がよいでしょう。
ChatGPTとGeminiを比較してみた
| 比較項目 | ChatGPT | Gemini |
|---|---|---|
| 説明の詳しさ | 〇 | ◎ |
| 改善提案 | 〇 | ◎ |
| 読みやすさ | ◎ | 〇 |
| 初心者向け | ◎ | ○ |
| 文字認識 | 〇 | △ |
ChatGPTとGeminiはどちらの方がおすすめ?
AIは日々進化しているため、あくまで現時点での感想になりますが、筆者はChatGPTの方がおすすめです。
理由は次の3点です。
- 文字の読み取りミスが少ない
- 返答が簡潔で分かりやすい
- 減点理由が明確で次回の学習に生かしやすい
特に文字認識の精度はChatGPTの方が高いと感じました。また、こちらの指示に対しても、ChatGPTの方が意図を正確にくみ取って返答してくれる印象です。
一方で、Geminiは読み取りミスが比較的多く、手書き答案の採点では少し不利に感じました。
無料AI採点はどこまで信用できる?

- 本番の採点より甘くなりがち
- 同じ答案でもタイミングによって評価が変わることがある
- 読み取りミスが本番より圧倒的に多い
- 文法やスペルミスには意外と厳しい
AIは利用者の学習意欲を高めるためか、全体的に褒める傾向があります。そのため、内容や構成がやや不十分な場合でも、実際より高めの評価になることがあります。
一方で、文字認識については本番の英検より厳しい印象です。読み取りミスによって、本来は正しい英文が誤答として扱われるケースも見られました。
英検本番でもAIは活用されていますが、採点前には人による確認が行われています。そのため、文字の乱れや読み取りにくい箇所については、人の目でチェックした上で採点が進められるそうです。
そのため、AIで英検3級ライティングを採点する際は、少し厳しめの条件を設定することをおすすめします。
おすすめの採点用プロンプト

あなたは「合格率20%の非常に厳しい英検採点官」です。お世辞や励ましは一切不要です。本番の英検で確実に減点されるポイントを厳しく指摘してください。
以下の採点基準(各4点満点、計16点満点)で、それぞれの点数と減点理由を明確に教えてください。
・Content(内容)
・Organization(構成)
・Vocabulary(語彙)
・Grammar(文法)また、減点された理由と改善方法を具体的に説明してください。
まとめ
- 手書き答案でもAI採点は十分活用できる
- 現時点ではChatGPTの方がおすすめ
- 最大の注意点は文字認識
- 採点は甘めになりやすいため、厳しめのプロンプトを使う
- 自宅学習の補助ツールとしては非常に優秀
無料で利用できるAIでも、文法やスペルミスのチェック精度は十分高いと感じました。ただし、採点結果はやや甘めになる傾向があり、文字認識によるミスも少なくありません。
文字認識については、本番を想定すると厳しいくらいでちょうどよいかもしれません。しかし、採点が甘すぎると実力を正しく把握できず、過信につながる可能性があります。そのため、AI採点を活用する際は、プロンプトで「厳しめに採点してください」と指示しておくことをおすすめします。
AIの採点は絶対ではありませんが、自学自習の強い味方になることは間違いありません。実際に使ってみると、「AIがなかった時代はどうやってライティングを勉強していたのだろう」と思うほど便利でした。読み取りミスや採点の甘さなど気になる点はありますが、自宅で気軽に添削を受けられるメリットはそれ以上に大きいと感じます。
英検3級のライティング対策をしている方は、ぜひ一度AI採点を試してみてください。
AI採点がおすすめな人
- 塾に通っていない人
- 保護者が英語を教えられない人
- 添削を受ける機会が少ない人
