
筆者が過去に書いた記事「探究学習と自由研究の違いとは?小学校ではどう取り入れられている?テーマ例も紹介」で探究型学習がどういうものなのか調べてみました。小学校で取り上げられている内容や、どういう取り組みをやっているのかを調べてみると、私たちが子供の時と結構違うことがわかりました。
世間では探究学習が増えていることについて、肯定的な意見よりも否定的な意見が目立っている印象です。特に、近年の学力が落ちている原因が探究型学習が増えたからという論調をよく耳にします。
そこで、実際に探究学習はどれほど行われていて、どのような内容の授業をやっているのか、小学3年生と小学5年生の子供に聞いてみました。
そもそも探究学習とは何?

そもそも探究学習の定義ってあいまいですよね。「社会の時間に千葉県について自分で調べてください」といった課題も探究学習にあてはまるの?と、記事を書く前は思っていました。もし、それがあてはまるのであれば、私が子供のころも結構ありましたし、いろいろな課題をやった覚えがあります。つまり、最近始まったことではないのでは?ということです。
調べてみると、授業内で課題を与えられ、答えを調べてまとめる作業は「調べ学習」と呼ばれることが多いようです。調べ学習は私たちが子供のころも頻繁にありましたし、イメージしやすいです。
一方、文部科学省では、探究的な学習の過程として「課題の設定→情報の収集→整理・分析→まとめ・表現」という流れが示されています。さらに、学習を振り返り、そこから新たな課題につなげていくことも大切とされています。
なんだか大学の卒論の縮小版みたいです。こういう探究的な学習は、私たちが子供のころにはほとんどありませんでしたよね。では、実際に現在の小学校でどのくらい行われているのか聞いてみました。
探究学習って、実際の学校ではどのくらいやっている?

今回聞くのは同じ小学校に通う二人の子供です。そのため、意見や内容がかなり偏っていると思います。そのあたりをご了承いただけると幸いです。
小学3年生の娘と小学5年生の息子に探究学習について聞いてみました。すると、探究学習と呼ばれている授業はないそうです。調べ学習はあると言っていました。調べ学習の内容は私たちが子供のころと同じようなもので、別段新しく変わったものではありません。
そこで、探究学習について定義を説明して聞いてみました。すると、授業ではほとんどやっている記憶がないとのことです。では、どんな時にやっているのか聞くと、小学3年生の娘は「総合学習の時、月1でやっているような気がする」と答えました。
逆に息子は「授業の課題がすべて終わって、時間があって暇なときに、やってもいいよ的な感じ」とのことです。くわしく聞いても「えぇー、授業ではやっていないし、他の授業に影響を及ぼすほどやっていることはないと思う」と答えていました。
ちなみに、のちのち娘に自主学習で使っているノートを見せてもらったところ、算数や漢字や社会のプリントがたくさん貼ってありました。どうやら娘が言っていた探究学習は、自分がやりたい勉強をプリントなどを使ってやるような感じです。私たちの感覚では自習に近いです。
つまり、小学3年生の娘は、今回説明した探究学習にあてはまる定義の学習はやっていませんでした。
総合学習は何を一番やっているのかを子供たちに聞いてみると「パソコン」や「先生が提案する課題」と答えていました。タイピングの練習や、南房総はどんな所か調べ学習などをしているそうです。
つまり、子供たちが通っている学校では、一般的な授業を圧迫するほど探究学習をやっていませんでした。
子供が通っている公立小学校について紹介
子供が通っている公立小学校は、たまたま勉強が得意な子供が集まっています。筆者は全然気にせず住んでみたらそうだったということで、狙ったわけではありませんでしたが……どうやら昔からそうだったようです。
- 漢字50問テストは初見で90点以上がクラスの半数。100点もクラスの1/4程度いる
- 普段のテストも80点以上がほとんど
- 授業参観では高学年でも挙手が多く、授業を真面目に聞いている
- 宿題や提出物を忘れてくる子供はほとんどいない
- 先生がいない自習時間でも、黙々とプリントやドリルをやるのが当たり前のクラス
etc
私が通っていた小学校とは全然違いますね……。漢字50問テストなんて、90点以上は一人か二人しかいませんでした……。自習の時間なんて紙飛行機を作って投げたり、練り消しを一生懸命作っていましたからね。私は一生懸命パラパラ漫画を作っていました。
授業参観の態度を子供に聞いてみても、「普段からあんなもの。みんな手を挙げているし。普通じゃない?」とのことでした。
ともかく勉強に熱心な子供が多い地域です。そのため、普段の授業も余裕をもって受けている子供が多いようです。学力が追い付かず、できないわけではなさそうです。それでも、思ったより探究学習に割いている時間が少なく、意外でした。
自主学習では「探究っぽいこと」をしている子もいる
小学5年生の息子いわく、探究学習は時間があるときにやるか、宿題で出されることが多いようです。特にほとんどが宿題とのこと。探究学習という名称ではなく、「自主学習ノート」という名目で行っています。頻度としては2週間に1回程度、宿題として出されています。おもに連休前の宿題が多い印象です。
どのくらい自主学習ノートをしっかりやっているのかと聞いてみると、子供によって異なります。例えば、我が家の息子みたいに文字を書くことが好きな子供は、「探究学習と自由研究の違いとは?小学校ではどう取り入れられている?テーマ例も紹介」で紹介したように、がっつり調べてやるケースもあります。
息子に他の子供はやっているのか聞いてみると、「人によって違う」とのこと。でも、基本的にはしっかりやっている子供が多いようです。息子いわく、「虹がどうしてできるのか?色などについて」といった自主学習をしている同級生はかなりしっかり調べていて、面白かったと答えていました。
自分たちで課題を見つけて、情報を集めて、結論を出す一連の作業を小学生でも結構しっかりできているようです。
探究できる子には「余裕」があるのかもしれない
息子に話を聞いたところ、探究学習をしっかりしている子供は、学校の授業も結構できる子供が多いとのことです。
探究学習をするタイミングは、授業の課題が終わった後や、宿題で出される程度。宿題は基本的にみんなしっかりやっているそうですが、学校の勉強内容に余裕がなければ、探究学習よりも授業内容を復習しますよね。また、授業の課題が終わるということは、勉強に余裕があるとも受け取れます。
探究学習は意味がない?私はそうは思わない

探究学習は意味がないとよく言われています。しかし、子供を見ていると、自分で課題を見つけ→内容を調べ→精査をして→オリジナルの結論を導き出す。
これは、ただ暗記するだけの勉強では身につきにくい能力です。世間では、勉強で暗記しても仕事では意味がないと言われることがあります。それは学校の試験と異なり、実際の仕事ではスマホやパソコンで、暗記した内容をあっという間に検索できるからです。持ち込み不可なんて職場は、ほとんどないですからね。
だからこそ、探究学習のように、自分で考えて答えを導き出す力を学ぶことは悪いことではないと思います。
探究学習はできない子供も多いのでコスパはよくない
ただし、きちんと取り組めた場合、探究学習には意味があります。残念ながら、すべての子供が自分で課題を見つけて、情報を集めて精査し、結論を出すところまでできるわけではありません。むしろ、できる子供のほうが少ないのかもしれません。
少なくとも私が子供のころだったら、そもそも課題すら見つけられなかったと思います。課題を見つけるというのは、日々の生活の中で「なぜ?」「どうして?」と疑問を持つということですから。疑問が浮かばない子供も多いですよね。
だからこそ、探究学習ばかりに偏るのは、効率的にもあまりよくないのではないかと思います。できない子供は置いてきぼりになりやすいので、バランスが重要です。
今の子供が通っている学校では、通常の授業を圧迫するほど探究学習をやっているわけではありません。それくらいの頻度で、ちょうどいいのではないかと思っています。
AI丸写しの子供もいる
子供に話を聞くと、探究学習として行っている自学ノートでは、一部の子供はAIを丸写ししていることもあるそうです。丸写しと言っても、そのままコピーしたり貼り付けたりするわけではなく、AIに聞いた回答を自分の言葉でそのまま写して書いているそうです。
探究学習としてはどうなんだろ?とは思いますが、自分が知りたい内容を写本のように書くだけでも、新しい知識にはなるかもしれません……。
探究学習に力を入れている小学校もある

少し気になったのは、探究学習はほかの学校ではどれくらいやっているのか?ということです。文科省の学習指導要領では、総合的な学習の時間は探究的な学習を基本としています。小学校3~6年生の総合的な学習の時間は、年間70単位時間が標準です。
では、ほかの学校ではどれほどやっているのか調べてみると、渋谷区では、小学校6年生の総合的な学習の時間を年間70時間から155時間に増やし、その中で探究基礎や企業等による体験、共通テーマによる探究、My探究などを行っています。子供が通っている学校と比較すると大きく異なりますね。
参考ページ:東京・渋谷区、小中学校「総合学習」2倍超に…教育委員会「生きるために必要な力を身につけさせる」
子供が通っている小学校では、体感として「週1もやっていないなぁ」とのことなので、結構異なります。そもそも探究学習という言葉すら知らなかったくらいですから……。
ほかにも探究学習に力を入れている学校も多くありました。そういう地域で通っている親御さんは、逆に戸惑うことはあるかもしれません。
まとめ

今回、子供に話を聞いてみた印象としては、世間で言われているほど積極的に探究学習を行っている印象はありませんでした。ただし、調べてみると学校によって大きく異なることも分かりました。
そのため、たまたま探究学習が多い地域に住んでいることで、戸惑った親たちの声が大きく取り上げられている可能性もあると思っています。
また、探究学習も子供によっては非常に有益な学習だとも分かりました。逆に、子供によっては効果的ではないので、学力格差が広がりやすい学習内容だとも思います。
筆者としては、既存の学習を圧迫しないのであれば、積極的に取り入れるのもありだとは感じています。何事もバランスが大事ですよね。
