
最近、教育改革に伴い「探究学習」が増えています。探究学習については賛否両論ありますが、高校や大学だけでなく、中学校や小学校でも取り入れられるようになりました。
ちなみに、筆者の子どもが通う小学校でも探究学習は小学4年生ごろから増えてきました。「総合的な学習の時間」を中心に、自分で課題を決めて調べたり、スライドにまとめて発表したりする授業が行われています。
そういえば、昔から学校には「自由研究」がありました。どちらも自分で調べたり考えたりする学習ですが、実は目的や進め方には違いがあります。また、最近では自由研究を必須としない学校も増えており、探究学習との違いが分かりにくくなっている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、探究学習と自由研究の違いや、最近の小学校での取り組みについて、以下の4つのポイントを中心にわかりやすく解説します。
- 探究学習と自由研究は同じもの?
- 探究学習と自由研究の違いや進め方
- 昔は自由研究が夏休みの定番だったけれど、今は違うの?
- 最近増えている自主学習ノートとは?
探究学習と自由研究の違いを比較
一見すると似ている探究学習と自由研究。何が違うのか分かりやすく比較表を含めてまとめてみました。
比較表
| 項目 | 探究学習 | 自由研究 |
|---|---|---|
| 目的 | 課題を見つけ、解決方法を考える | 興味のあることを調べたり実験したりする |
| 始め方 | 「なぜ?」「どうすれば?」という問いから始まる | 好きなテーマや課題から始まる |
| 重視されること | 考える過程・試行錯誤 | 完成した成果やまとめ |
| 取り組む場面 | 授業・総合学習・自主学習など | 夏休みの宿題など |
| 完成品 | レポートやスライドが多い | レポートもあれば物や植物などあり |
探究学習は、自分で課題(問い)を見つけ、その課題を解決するために調べたり、実験したりしながら、自分なりの考えをまとめる学びです。実験や観察を行うこともありますが、目的は結果を得ることではなく、課題を解決するための過程や考察を深めることにあります。
一方、自由研究は、自分が興味を持ったテーマについて自由に取り組める学習です。工作や観察日記、実験など内容はさまざまで、必ずしも課題(問い)を設定する必要はありません。成果物や調べた内容をまとめて提出する形式が一般的です。
ただし、自由研究だからといって探究的な学びができないわけではありません。自由研究でも「なぜそうなるのだろう」「どうすればもっと良くなるだろう」と問いを立て、仮説を考えながら調査や実験を進めれば、その内容は探究学習にもつながります。実際に、自由研究として探究学習に近い内容に取り組んでいる子どもも少なくありません。
つまり、探究学習と自由研究の一番の違いは、「答え」よりも「考える過程」を重視するかどうかです。自由研究でも工夫次第で探究学習の要素を取り入れることができるため、両者はまったく別のものではなく、互いにつながりのある学習といえるでしょう。
探究学習とは?

近年、小学校でも探究学習を取り入れる学校が増えています。探究学習は、知識を覚えるだけでなく、自分で課題を見つけ、情報を集めて考え、解決策を導き出す力を育てることを目的とした学習です。
例えば、修学旅行や校外学習で見たこと・学んだこと・感じたことを新聞やスライドにまとめ、クラスで発表する活動も探究学習の一例です。
自分で課題(問い)を見つける、または先生から提示されたテーマについて考える
探究学習のテーマは、自分で自由に決める場合と、先生から提示されたテーマに沿って取り組む場合があります。先生がテーマを提示する場合でも、「環境問題」や「地域の魅力」など、大まかなジャンルだけが指定され、その中から自分で課題を設定するケースも少なくありません。
大切なのは、「なぜそうなるのだろう?」「もっと良くするにはどうすればいいのだろう?」という問いを持つことです。この問いが、探究学習の出発点になります。
実際に現地へ足を運んだり、本やインターネットなどで情報を集めたりする
情報を集める方法はさまざまです。学校の図書室で本を調べたり、インターネットで情報を収集したりするほか、必要に応じて実際に現地へ足を運び、見学やインタビューを行うこともあります。
一つの情報だけを参考にするのではなく、複数の資料を見比べながら信頼できる情報を集めることも大切です。
集めた情報を整理・分析し、課題を解決するための考えをまとめる
探究学習の中でも特に重要な工程です。集めた情報を整理・分析し、課題に対してどのような結論を導くのか、自分なりの根拠を示しながら考えます。
発表を行う場合は、スライドや資料は見やすくシンプルにまとめ、口頭で詳しく説明できるように事前にシミュレーションしておくと、より伝わりやすくなります。
調べた内容を発表し、レポートや資料を提出する
まとめた内容は、新聞形式のレポートや模造紙、スライドなど、学校や授業に応じた方法で発表します。発表に加えて、レポートや資料を提出する場合もあります。
近年では、タブレット端末を活用してスライドを作成し、プレゼンテーション形式で発表する学校も増えています。
発表後に先生や友達から意見をもらい、次の学びにつなげる
発表後は、先生や友達から感想やアドバイスをもらい、自分の考えを振り返ります。このフィードバックを生かして改善点や新たな課題を見つけ、次の学びにつなげていくことも探究学習の大切な要素です。
探究学習は、大学の卒業論文にも通じる進め方を取り入れた学習です。もちろん卒業論文のように何万字ものレポートを書くわけではありませんが、「課題を設定する→情報を集める→考察する→発表する→振り返る」という流れはよく似ています。
また、成果物を提出して終わりではなく、先生や友達からの意見を受けて振り返りを行い、次の学びに生かす点も探究学習の特徴です。
このように探究学習では、「答えを覚えること」よりも、自分で課題を見つけ、情報を集めて考え、結論を導き出すまでの過程が重視されます。そのため、正解が一つとは限らない課題にも、自分なりの考えを持って取り組む力が身につきます。
自由研究とは?

自由研究は、自分が興味を持ったことについて自由に調べたり、実験や工作、観察などに取り組んだりする学習です。探究学習のように必ず課題(問い)を設定する必要はなく、自分の興味や関心を大切にしながら取り組めるのが特徴です。
完成した作品や実験結果、観察記録などを成果物として提出することが多く、楽しみながら学べる点も自由研究ならではの魅力といえるでしょう。
自由研究の特徴
- 夏休みの課題として、読書感想文と並んで長く親しまれてきた
- 興味のある実験に挑戦できる
- 工作やものづくりを楽しめる
- 植物や昆虫などの観察ができる
- 地域や好きなテーマについて自由に調べられる
自由研究は、探究学習のように課題解決まで求められることは少なく、自分の興味があることを楽しみながら形にできる学習です。
そのため、工作や観察日記、好きなテーマの調査など、子どもの発想を生かしたさまざまな作品が見られます。学校によっては、ゲームのプレイ記録やプログラミング作品など、自分が熱中して取り組んだ内容を自由研究としてまとめるケースもあります。
一方で、「なぜそうなったのか」「もっと良くするにはどうすればよいか」といった問いを立てて深く考察すれば、自由研究は探究学習へ発展させることも可能です。
自由研究と探究学習はまったく別のものではなく、自由研究を工夫することで探究学習につなげることもできます。
最近の小学校ではどのように取り入れられている?

近年では、多くの小学校で探究学習が取り入れられるようになりました。ただし、取り組み方は学校によって異なります。
ここでは、筆者の子どもが通う小学校で実際に行われている探究学習を紹介します。一例ではありますが、「最近の小学校ではこのような学び方もあるんだ」と参考にしていただければ幸いです。
発表はスライドを使うことも増えている
筆者の子どもは小学5年生ですが、探究学習が昔と比べて非常に増えたと感じています。
例えば、個人で課題に沿って情報を集め、内容を整理・分析したうえで、自分でスライドを作成し、クラスの前で発表します。スライドは6ページ程度、発表時間も3分ほどと短めですが、限られた時間で分かりやすく伝える力も求められるため、これも立派な探究学習といえるでしょう。
自由研究を必須としない学校も増えている
筆者が子どもの頃は、夏休みの宿題といえば自由研究が定番でした。しかし現在では、自由研究を実施しない学校や、希望者のみの任意課題としている学校も増えています。
筆者の子どもが通う小学校でも、夏休みの宿題として自由研究は設けられていません。
自由研究を任意にする理由としては、保護者や教師の負担軽減、子どもの自主性を尊重する考え方などが挙げられています。そのため、夏休みだけでなく、普段の授業や自主学習の中で探究的な学びを取り入れる学校も増えてきています。
自主学習ノートで探究的な学びを取り入れる学校も
小学5年生になると、自学ノートを使った宿題として探究学習に取り組む機会が増えました。
課題は自分で設定し、調べた内容を自学ノートにまとめます。その内容を先生が確認し、一言コメントを書いて返してくれる形式です。
私たちが子どもの頃は、自学ノートを使った宿題はあまり見かけませんでした。そのため、現在の小学校では自主的に調べて考える力を育てることが重視されていると感じます。
調べるテーマは身近な疑問だけではありません。「虹はどうしてできるのか?」「名字の由来」といった生活に関するものから、「戦国時代の戦費」「住宅の容積率について」など、大人でも興味を持つようなテーマを調べている子どももいました。というか容積率なんて調べるのは凄いと思いました。
子ども自身が興味を持ったテーマだからこそ、自ら進んで調べる姿勢につながっているように感じます。また、先生からコメントをもらうことで、新しい疑問が生まれ、さらに調べてみようという意欲につながる点も探究学習ならではの魅力だと感じました。
探究学習・自由研究におすすめのテーマ例
| 探究学習向け | 自由研究向け |
|---|---|
| 食品ロスを減らす方法 | 氷が溶ける速さ |
| 地域の防災を調べる | 野菜や植物成長観察日記 |
| 図書館をもっと利用してもらうには? | 100円ショップの材料を使った工作 |
| 公園のごみ問題 | スライム実験 |
| 人の役に立つ乗り物を解説 | 昆虫採集 |
自由研究でも、問いを立てて仮説を考えながら取り組めば、探究学習と同じような学びにつながります。
例えば、「氷が溶ける速さ」を調べる場合でも、ただ秒数を記録するだけでは自由研究で終わってしまいます。一方で、「水・ジュース・塩水ではどれが一番早く溶けるのか」「日なたと日陰では違いがあるのか」「容器の材質によって溶ける速さは変わるのか」といった問いを立て、条件を変えながら比較・考察すれば、探究学習としての要素が加わります。
また、「野菜は毎日水をあげた方がよく育つのか」「100円ショップの材料だけで丈夫な橋は作れるのか」など、自由研究のテーマでも工夫次第で探究学習へ発展させることができます。
つまり、自由研究と探究学習の違いはテーマではなく、取り組み方です。 子どもが「なぜだろう?」「どうすればもっと良くなるのだろう?」という疑問を持ち、自分なりに調べて考えることで、自由研究は探究学習へと発展していきます。
まとめ

- 探究学習は「問いを立てること」を大切にする学び
- 自由研究は興味のあることを調べたり、実験したりする学習
- 最近は自由研究を必須としない学校もあり、学校によって取り組み方は異なる
- 普段の自主学習ノートや授業でも、探究的な学びを取り入れる学校が増えている
- 自由研究でも、問いを立てて考察を深めれば探究学習へ発展させることができる
子どもが興味を持った課題について、自分なりに筋道を立てて考えることが探究学習につながります。探究学習と自由研究は目的や進め方に違いはありますが、「自分で考え、調べ、学ぶ」という点では共通しています。
また、自主的に学ぶことで知識が身につくだけでなく、「考える力」や「課題を解決する力」も育まれます。そのため、子どもの将来にも役立つ学びになるでしょう。
ただし、無理に難しいテーマを選ぶ必要はありません。大切なのは、子ども自身が「なぜだろう?」「もっと知りたい」と思えるテーマを見つけることです。
自由研究でも探究学習でも、興味を持ったことを自分なりに調べて考える経験は、子どもの成長につながる貴重な学びになります。

