
「マスコミは批判が多くね?」
小学5年生の息子から唐突に言われたこの言葉。意外すぎて、ちょっとびっくりしました。
というのも、別記事にも書いていますが、我が家にはテレビがありません。正確には、テレビをリアルタイムで見る習慣がなくなり、テレビそのものを処分しています。
そのため、息子はニュース番組やワイドショーを見ることがほとんどありません。それなのに、なぜ小学5年生から「マスコミは批判が多い」という言葉が出てくるのか。
聞いてみると、どうやらネットニュースなどから、なんとなくそう感じていたようです。
考えてみると、私たちが子どもの頃とは、子どもたちとメディアの関わり方そのものがかなり変わっています。
今回は、そんな我が家の子どもたちを見ていて感じた、最近の子どもとメディアの関わり方について書いてみたいと思います。

TVerでバラエティを見るけれど、ひな壇は見ない

我が家ではTVerやAmazon Primeでバラエティやアニメを見ることがあります。ただし、バラエティを見るときには少し変わったところがあります。
VTRや企画は普通に見るのですが、スタジオに戻ってひな壇のトークになると、必ず飛ばします。「親が飛ばしたほうが時間短縮できるよ」などと教えたことはありません。
どうやらバラエティを見ているうちに、子どもたち自身が飛ばすようになったようです。なぜ飛ばすのか聞いてみると「面白くないから」とのこと。
「芸能人やタレントが話していることに興味がないの?」と聞いても「ない」らしいです。
VTRとは関係のない話や、スタジオでの芸能人同士のイジリなどを、そもそも楽しいと思わないようです。これは息子だけではありません。娘も同じでした。
ちなみに息子は、その番組を何度も見ているにもかかわらず、スタジオにいる司会者の名前すら知りません。
「毎週のように見ているのに、司会者の名前知らないの?」と、親としてはちょっと不思議です。
さらに娘に「芸能人、誰か知ってる?」と聞いてみても
「知らない」
「興味はないの?」
「ない」
とのこと。
「でも、ミセスは知っているよね?」
と聞くと、
「うーん。それとはちょっと違う」そうです。
どうやら娘の中では、Mrs. GREEN APPLEは「芸能人」という括りではないらしい。このあたりも、私たち親世代とはちょっと感覚が違うようです。では、息子は芸能人をどのくらい知っているのでしょうか。聞いてみると「大谷翔平」とのこと。
それはスポーツ選手……。
逆に、YouTubeのチャンネルは結構知っています。なんなら、AIキャラクターである「パンツミテーナ」や「しみたく」などのほうが詳しいくらいです。
私が子どもの頃なら、テレビを見ている子どもが芸能人をほとんど知らないというのは、ちょっと考えにくかったと思います。
でも今の子どもたちは、テレビ番組を見ていたとしても、そこから芸能人に興味を持つとは限らない。
「テレビを見る」と「テレビ文化に詳しくなる」は、どうやら別の話になっているようです。
ニュースはテレビから入ってこない
では、リアルタイムでテレビを見ない息子や娘は、ニュースを全く知らないのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。特に息子は、最新のニュースや話題をそれなりによく知っています。ただ、テレビのニュース番組やワイドショーを見ることはありません。
というより……ワイドショーに限っては、実家のテレビで流れていても、すぐに「うるさい」と言って消してしまいます。芸能人やコメンテーターがごちゃごちゃ話しているのが、単純に煩わしいようです。
では、そんな息子や娘は、いったいどこから情報を仕入れているのでしょうか。我が家の場合、主な情報源はこのあたりです。
- こども新聞
- 学校の友達との会話や先生の説明
- ネットサーフィン中に目にするネット情報

このほか、家族との会話から情報を得ることもあります。そして、その中で気になったことがあれば、自分で調べています。そのため、私よりも息子のほうが詳しいことも珍しくありません。
最近では、ワールドカップが学校で話題になったそうです。
「みんなサッカーの話をしていた」とのこと。そこでYouTubeで試合を見て「ハーランドすげぇ」と言っていました。
また、学校から帰ってきて「ブラジル負けて、ブラジル好きの奴にみんな『ざまぁ』していたよ」なんて話してくることもありました。
テレビのニュースを見ていなくても、学校で話題になれば自然と情報が入ってきます。そして興味を持てば、YouTubeなどで実際の試合を見る。
娘の場合も少し違います。以前、娘に「ミセスをどうやって知ったの?」と聞いたところ「学校のお楽しみ放送で知った」とのことでした。
息子も娘も「アニメの主題歌でよく流れてくるし、それで有名なんじゃない?」と言っています。
そのため、私たちが子どもの頃に持っていたような「テレビに出ている芸能人」という感覚は、あまりないのかもしれません。
こうして考えてみると、テレビでニュースを見なくても、今の子どもたちはいろいろなところから情報を手に入れることができます。
学校で友達から聞く。先生から聞く。新聞で読む。ネットで偶然見つける。
気になったら自分で検索する。テレビを見ていなくても、情報そのものが入ってこないわけではありません。
私たちが子どもの頃とは、情報の入り方そのものがかなり変わっているのだなと感じます。
突然「マスコミは批判ばかり」と言い出した
そんな普段ニュースやリアルタイムのテレビをほとんど見ない息子から、ある日突然「マスコミって批判ばかりじゃね?」という言葉が飛び出しました。
「マスコミって、どうして批判するの?」と聞かれたので「それも仕事の一つだからじゃない?」と答えました。
そのときは息子も「ふーん」と流していたのですが、その後、何やらAIにいろいろ聞いています。
「マスコミは批判が多い」
「そんなに批判ばかりしているから視聴率が下がっているのでは?」などと、自分なりに調べていました。
そこで気になったので、「ニュースをあまり見ていないのに、どうしてマスコミは批判ばかりだと思ったの?」と聞いてみました。
すると「なんとなく」とのこと。
なんとなく……。
なんなんだ、それは。
いまいち、はっきりしません(笑)。おそらく本人も、はっきり説明できるような理由はないのでしょう。もう少し聞いてみると、ネットでいろいろ見たり、人から話を聞いたりするうちに、なんとなくそう思うようになったとのことでした。
つまり息子の中では、ニュースやマスコミを実際にたくさん見て「批判ばかりだ」と判断したというより、ネットなどから入ってきた情報を積み重ねていくうちに、いつの間にかそういうイメージができていたようです。
ちなみに「じゃあ、マスコミにいいイメージはある?」と聞いてみると「ない」とのこと。
これはこれで、なかなか厳しい(笑)。一方で、息子が普段読んでいる「こども新聞」については、特に「批判が多い」という印象はないようです。
ちなみに、我が家でとっているのは「読売KODOMO新聞」です。他のこども新聞は読んでいないので、こども新聞全体についてどうこう言えるわけではありません。
私も読売KODOMO新聞には目を通していますが、大人向けのニュース番組やワイドショーとは違い、少なくとも私には「誰かを批判する」という印象はあまりありません。
もちろん、本来ならここで、「ニュースには批判的なものだけじゃなくて、いろいろなものがあるんだよ」と教えたり、子どもにいろいろなニュース番組を見せたりする方法もあるのでしょう。
ただ、我が家の場合、そこまでしてマスメディアのニュースを擁護する必要も感じていません。というのも、私も夫も昔はかなりのテレビっ子でした。
ニュースやワイドショーも普通に見ていましたし、そこで取り上げられていることについて「あれはダメだ」「これはおかしい」と家族で話すこともありました。今振り返ってみると、テレビを見ているうちに、いつの間にか何でも批判的に見るようになっていた部分もあったと思います。
だから、子どもたちをわざわざ同じ道を歩ませる必要はないと思っています。そのため我が家では、息子の「マスコミって批判ばかりじゃね?」という発言に対して、「まぁねぇ…でも、すべてのニュースが批判ばかりというわけではないよ」くらいにしています。
正直なところ、私も夫もマスメディアに対して特別いい印象を持っているわけではありません。だからといって、子どもに「マスコミの全てが悪い」と教えたいわけでもないです。
子どもにとって「メディア」はテレビだけではない

私たちが子どもの頃、情報を得る手段といえば、新聞・ラジオ・テレビなどが中心でした。
もちろん、新聞を読む子どももラジオを聞く子どももいたと思いますが、少なくとも私は、ニュースなどの情報をテレビから得ることがほとんどでした。
学校の友達から「こんなことがあった」と教えてもらうこともありましたが、その友達が知った情報も、結局はテレビからということが多かったと思います。
テレビは、自分が欲しい情報を探しに行かなくても、テレビをつけていれば自然と情報が入ってきます。
一方、現代の子どもたちは違います。
テレビ、TVer、YouTube、ネットニュース、新聞、学校、友達との会話、検索、そしてAI。
情報が入ってくる場所が、とにかく増えています。
しかも、自分が気になったことを検索したり、YouTubeで動画を探したり、AIに聞いてみたりと、「自分が知りたい情報を取りに行く」ということも簡単になりました。
もちろん、ネットを見ているだけで偶然情報が入ってくることもあります。
それでも、昔のように「テレビを見ていれば世の中の情報が入ってくる」という状態とは、かなり違うのではないでしょうか。
我が家の子どもたちを見ていても、テレビを見ていないから情報が少ないという感じはありません。
むしろ、学校で聞いたことを調べたり、新聞で気になったことを検索したり、ネットで見つけた情報についてAIに聞いたりしています。
私たちが子どもの頃とは、情報そのものだけではなく、メディアとの向かい方が大きく変わっている。最近の子どもたちを見ていると、そんなことを感じます。
我が家のメディア教育はよくわからない

最近、よく「メディア教育」という言葉を聞くようになりました。ただ、国・学校・マスコミなど、立場や媒体によってメディア教育の方向性や内容も大きく異なります。そのため、正直なところ何が正しいのかは私にもよくわかりません。
しかも、AIの台頭によって、情報との付き合い方そのものがものすごい勢いで変わっています。我が家も、AIの扱いで子どもがちょっとしたトラブルになったことがあります。親の私たちも「これはどうしたらいいんだ?」と考えながら対応しました。
ただ、一つ思うのは、昔はテレビが大きな情報の入口だったのに対して、今はさまざまな入口から情報が入ってくるようになったということです。
テレビ、YouTube、ネット、新聞、学校、友達、検索、そしてAI。
入口が増えたことで、子どもが知る世界も広がりやすくなったように感じます。
だから我が家では、「それはネットの情報だからダメ」「テレビを見ていないから知らなくてもいい」というように、最初から否定するのではなく、子どもが拾ってきた情報を一緒に見ていければと思っています。
本当に大丈夫な情報なのか?何か問題はないのか?大人から見てもおかしなところはないのか?そういうことを、親も一緒になって考えていく。
これから情報の入口がさらに増えていけば、親がすべての情報を把握することなんてできなくなるでしょう。
だからこそ、「何を見せるか」だけではなく、「子どもが持ってきた情報とどう向き合うか」が、これからの我が家のメディア教育なのかもしれません。
……まあ、まだ我が家も手探りなんですけどね。
※子供のメディアリテラシーの内容についてまとめられている本です。

